那須自動車学校を狙う
物流事業者の事務所サイドのニーズに応えるためATIS(高度交通情報サービス)が始められ、いまでは携帯電話のiモードでも受信できるようになっている。
この結果、より広域の交通情報に基づき配車配送計画を策定することが可能となった。
ITSの要素技術を用いて新たにいろいろなシステムが実現可能になっている。
問題はむしろ「新しいシステムが荷主、物流事業者、行政のニーズに応えているか」「導入費用が支払意思、負担限度額の範囲におさまるか」などニーズサイドに存在している。
この検討には内外の事例を参考にしながら、情報通信技術を活用したロジスティクス高度化のシナリオをつくり、関係者がその実効性に関し議論を深めることが有益である。
以下、シナリオをいくつか例示したい。
最初のシナリオは、貨物の位置情報の活用による運送管理である。
大手の宅配便事業者ではすでに導入している、いわゆる貨物追跡システムである。
ただし現在は、ターミナルを通過するときにバーコードを読んで入力するだけで、輸送中の位置を完全に把握しているわけではない。
この程度の貨物追跡システムでも多くの荷主の顧客満足度は高められるが、貴重品、危険物を扱う荷主はもう少しきめ細かく、トラックや貨物の位置を把握したいと考えており、GPSと携帯電話を組み合わせたシステムなどの導入が図られつつある。
さらに同業他社を巻き込んでシステムを構築していくことが考えられる。
貨物を他の事業者に託しても、途切れることなく追跡管理できればつごうがよい輸送モードを超えての追跡は現在のところ実現していないが、少なくとも同一交通機関のなかでは国際的に追跡できるようになってきた。
たとえば航空貨物に関しては、貨物追跡を専門的に行うサードパーティロジスティクスが生まれている。
また貨物が危険物の場合、事故の処置方法がわからず、大事故につながる、あるいは長時間、高速道路が不通になることがある。
この問題に対しては、ISOのITSの標準化活動を専門に行う委員会で、危険物輸送のための「電子プラカード」の国際標準が検討されている3。
すなわち荷物に危険物の種類を電子的に記録したタグをつけておき、事故現場で読み取ることによって適切な処置ができるという仕組みである電子プラカードは平常時に、道路管理者、交通管理者が危険物輸送を監視する手段となる。
第11章で詳しく触れるが、わが国の危険物輸送に関しては法体系、監視体制が不備である。
船舶、港湾、コンテナヤード内は国際標準を用いて厳しく管理されているが、陸上輸送は一部の特殊な危険物を除き管理が甘い。
電子プラカードの活用を契機として、道路交通の安全性を高める体制を確立すべきである。
さらに、ITS技術にはモード間の積み替えを効率的にするインターモーダル輸送の促進への寄与も期待されている。
サプライチェーン全体からみれば、荷揚げ、通関などにかかる時間を短縮することが急務である。
現在、通関手続きを電子化する自動通関システム(NACCS)の拡充が図られつつあるが、同システムを核に同システムと入出港、船積み、検数検量、さらに上で述べた危険物車両、特殊車両走行許認可など関連するEDI(電子データ交換)システムが連携し、データの相互利用を図っていくことが考えられる。
荷主の立場でいえば各種申請のワンストップサービス化である。
この面でのベストブラクテイスはシンガポール。
シンガポールではトレードネットの導入により、それまで20種類の書類と2日間の手続き時間が必要であった貿易関連手続きが、一つの電子書式で可能となり、許認可の95%までが15分以内で終わるようになっている。
さらにこれまで、各国の税関ごと、インフラ管理者ごとに、独立した情報システムをもっており、輸送手段を変えるたび、越境するたびに必要な情報をコンピュータの端末に打ち込む必要があった。
もし荷主、物流事業者、税関、インフラ管理者のコンピュータがEDIでつながり、ITSの応用としてICタグのついた貨物、コンテナ、車両、運転手が自動的に認識され、ターミナルでの仕分け、積み替え、輸送作業、国境での通関、検査、検疫手続きが迅速化するならインターモーダル物流は威力を発揮できる。
次に、求車求荷の仕組みを考えてみたい。
物流事業者間で、対応しきれない貨物の輸送依頼と帰り荷などが確保できない車をマッチングさせるのが求車求荷システムである。
この求車求荷システムに関して、インターネットやポケベルなどを活用した仕組みが提案されており、実際にも稼働している。
東京トラック協会新宿支部でも通常のホームページ、Eメールでは飽き足らず、組合員が相互に求車求荷情報を交換するクローズドなシステムをつくりあげ運用している。
なお、同事例は1999年に開催された中小トラック事業情報通信システム活用コンテストで入選している。
日本の求車求荷システムはうまくいってないケースが多い。
その理由のひとつに、「物流事業者が求車求荷システムのなかで見つけた荷主を囲い込んで、次回から直接荷主と取り引きするから」があげられる。
アメリカにあるナショナルトランスポーテーションエクスチェンジパーティロジステイクスである。
このシステムの特長のひとつは荷主が直接、登場することである。
このサイトには荷主が350、輸送事業者が200、トラックの台数にして10万台が登録されており、スポット的に運ぶ必要が生じた貨物とスポット的に余った車をマッチングさせている。
このサイトのFAQ(頻繁に行われる質問とその回答をまとめたファイル)のなかに、「このインターネットサイトで知り合いになった輸送事業者と、直接、取引きしても構いませんか」という質問がある。
この会社の答は、「イエス」。
標準的な輸送サービスの質や価格に関し情報が共有化されており、不確実性が小さくなっているため、お互い安心して取引ができるのではないだろうか。
エクスチェンジ社は輸送事業者の事前審査により一定水準のサービスは確保できているから、適正な手数料を上乗せしても荷主は引き止められると考えており、荷主にしてもある程度のサービスを納得できる価格で購入できるなら、簡便な方法を選びたいと判断するはずである。
ロジスティクスに限らず価格情報を共有化できるシステムは、今後の重要な情報インフラである。
なお、日本においてもこのようなシステムの実証実験が行コペンハーゲンでは、特定地域発着の貨物の積載率が60%ないし80%以上の貨物車に対し、通行規制を緩和し、特定の荷さばき駐車場を用意する制度をもっている。
積載率が高く効率がいいので、環境に対する負荷も少ないと判断されるからである。
この規制の実施にあっては積載貨物のうち、特定地域の発着荷物を識別しその積載貨物に対する割合を自動的に計測する技術や、トラックの重量、積載量などを自動的に計測し電子的な証明書を発行する技術が利活用できると思われる。
業態、利用目的の違いに依存することなく活用できる共通の仕組みがあり、その普及が各シナリオの実現を早める。
それら共通の機能、構造をもった機器、情報システム、ソフトウェア、カネやモノを受け渡す仕組みなどを、仮に「共通プラットフォーム」とよびたい。
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